今世紀のスロヴァキアの美術を概観しよう。
まず思いだされるのは、第二次大戦後のソヴィエトによる政治統制の中で、1920年代に生まれつつあったモダニ
スムの芽が摘まれてしまったこと、1950年代になって政治統制の緩和とともに、制限つきではあるが芸術の自由
が認められるようになったことだ。 1960年代前半は、いっせいに押し寄せてきた国外の美術界の様々な情報を吸収するために、また根強く残っていた国内の伝統主義や教条主義と闘うために、スロヴァキアの現代美術家たちは、混迷した困難な路を歩まなければならなかった。
ブルノフスキーが制作を始めたのは、このような混乱した時代だった。グラフィック科に席をおき、シュルレアリストの師に学んだブルノフスキーは、他の多くの者たちが新しい抽象絵画に追従する中で、幻想的なテーマを具象的な手法で描いた版画作品によって、注目された。
ストーン・エングレーヴィングから、リトグラフ、そして油彩やテンペラ、水彩、パルテルを混用する絵画作品
へと、その技法を広げ、深めていったブルノフスキーの作品は、その初期から一貫して、恐るべき精密さ、精巧さを誇っていた。その線の美しさ、階調表現(グラデーション)の巧みさ、ディテールへのこだわり、またそのイマジネーションの豊かさ、さらにその複雑なイメージを具体化するに充分な卓越した表現力、これら優れた特質が見事に融合した結果、ブルノフスキーのリアリスティックにしてファンタスティックな独特の作品の数々が
生まれたのである。
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