こんにちは。今回は、トンネル建設について取材してきました。
ハンガリー、スロヴァキア、チェコの首都を結ぶ高速道路に、E65号線というのがあります。これは、いわば産業道路で、大型トラックが頻繁に行来します。しかし、その高速道路は、ブラティスラヴァに入ると、一部、一般道となっています。地図を見ていただくと分かりますが、その一般道はT字路となっていて、以前から渋滞の原因になっていました。その渋滞解決のために、一般道を回避するトンネル建設(場所:Lamacska Cesta〜Stare Grunty)を行うことになったのが、スウェーデンの大手建設会社、スカンスカ(SKANSKA)という企業と、日本の大成建設です。
大成建設といえば、創設1873年という歴史ある会社で「地図に残る仕事」のキャッチフレーズも有名です。日本で初めての地下鉄工事を施工したり、横浜のランドマークタワー、新宿センタービル、青函トンネル、明石海峡大橋などの建設事業に加わったという、国内では豊富な実績があります。海外でも各地に拠点を持ち、施工実績があります。ヨーロッパではスロヴァキアだけでなく、ドイツ、イギリスに拠点を置きながら、ブルガリア等々においても建設に携わってきました。このことからもわかるように、大成は世界でもトップレベルの建設会社です。
ブラティスラヴァにおけるトンネル建設について、実際に大成建設へ取材に行って来ましたので、その模様をお伝えしましょう。
まず、事務の大橋さんに、このプロジェクトの概要を説明していただきました。
ヤスナ:トンネル工事の着工はいつでしたか?
大橋:トンネルの掘削を開始したのは2003年11月です。このプロジェクトは10年程前から計画されてきたようですが、国際入札があったのは、2002年の9月でした。入札の結果当社が一番札となり、2003年3月に契約調印・受注しました。契約上の着工は5月でしたが、客先からの用地引渡し等の問題があったので、それが解決されてからの着工となりました。
ヤスナ:資金はどうしているのですか?
大橋:JBIC(国際協力銀行)を資金源とし、ODA(政府開発援助)の一環として出ています。
ヤスナ:大成建設のみでトンネルを作っているのですか?
大橋:我々はこのプロジェクトを、大成スカンスカJV(ジョイント・ベンチャー)として受注しました。高速道路建設は全部で3.3kmの長さに及びますが、そのうちトンネル部分は1.1kmです。高速道路のインターチェンジに当たる部分をスカンスカが、トンネルは大成が、という具合に、分担施工しています。
ヤスナ:スロヴァキア人、日本人の従業員は何人ですか?
大橋:事務所では、スロヴァキア人12人、日本人5人、インド人1人です。インド人はインドで現在、当社施工中の作業所で活躍してくれた人で、非常に優秀なのでスロヴァキアに来てもらいました。
ヤスナ:スロヴァキア人の働き振りはどうですか?
大橋:よくやってくれています。始めこそは、定時の午後5時になると、そそくさと帰って行ってしまいました。彼らにとっても、日本人の毎日当たり前のように残業することは理解し難いでしょうね。しかし、時が経つにつれ、彼らも仕事の多さを実感したようで、8時、9時まで働くことが普通になりました。
続いて、事務所で働くミランさんにも、お話を伺いました。
ヤスナ:以前、なんらかの建設に携わった経験はありますか?
ミラン:いいえ。これがはじめてです。僕だけでなく、事務所で働く他のスロヴァキア人も皆、大卒というだけで、経験がありません。日本語はできませんが英語は話します。一応、技術大学の建築科を卒業しています。
ヤスナ:日本の企業で働くメリットとデメリットはなんでしょう。
ミラン:メリットは日本の進んでいる技術の間近にいて、それを習得できること。デメリットは、働く時間の長さでしょうか。今の自分は独身だし、彼女とも遠距離ですから、少しぐらいプライベートの時間が減ったところで、なんの支障もありません。ただ、自分ひとりでなくなった時に、周りがどう理解してくれるかが問題です。
次に技術者の紺野さんに実際のトンネル作業について伺いました。
ヤスナ:トンネル内では何人の人が働いているのですか?
紺野:我々の下請け会社、或いは孫受け会社に属するスロヴァキア人が、一日平均110名ほど働いています。24時間体制でトンネル建設をしていますので、シフト制のもと、昼夜交代で働いています。日本人も、私ともう一人が現場に入っています。
ヤスナ:一日に何メートルぐらいトンネルを掘ることができますか?
紺野:それは山の硬さによります。ここでは平均2m〜3mです。柔らかい箇所は、セメントを注入して固めてから掘っていきます。
ヤスナ:どういった方法で掘り進められるのでしょう?
紺野:都市ナトム(NATM/New Austrian Tunnel Method)工法で進めています。発破または掘削用機械により山を掘り、吹付コンクリート及びロックボルト等でサポートしながら掘削を進めています。
インタビューの後、大橋さんと、紺野さんの案内で、私もトンネルの施工現場を見学させていただきました。トンネルは南側から掘り進められていて、上下線それぞれ2車線の2本のトンネルです。取材した時点で、東側トンネルが約440m、西側トンネルが420mの地点まで掘られていました。また、北側からも、坑口付けで40mほど掘り始めたところでした。
気になる完成ですが、2007年の5月頃だそうです。これが完成すると、スロヴァキアでは、2本目の高速道路のトンネルとなります。
取材に快く応じてくださった大成建設の皆様、大変ありがとうございました。

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