スロヴァキアの結婚式は、どのようなスタイルで行われるのでしょうか?最近、ちょうど結婚式に行く機会がありましたので、皆さんにもご紹介します。
日本でも、スロヴァキアでも、伝統的な結婚式というものは数少なくなりました。従って、今回私がレポートするのも、最近のごくごく一般的な結婚式であることを、まず始めに断っておきたいと思います。それでも、ここの結婚式には、日本では見られない様式が盛りだくさん!さっそく、覗いてみることにしましょう。
南スロヴァキアでも西よりの、ノヴェー・ザームキ(Nove Zamky)市郊外の小さな村、スヴォディーン(Svodin)に今回の花嫁の実家はあります。私が式のためにそこを訪れると、ちょうど、花婿が花嫁を迎えに到着したところでした。新郎、新婦が、異なった土地出身の場合、式は新婦の実家のある所で行われます。同じ土地出身でも、新郎の家族、親戚一行が、新婦を家まで迎えに行くことがきまりとなっています。
そこから、一同は、行列となって教会までの道のりを歩いていきます。隣人も外に出て祝福し、見送ります。以前私が見た結婚式では、ご近所さまにもお酒やケーキを配っていました。行列を写真でお分かりいただけるように、これぞ、"嫁入り"といった感じがしませんか?
式は、ローマ・カトリックの教会で行われました。教会でなければ、役場で式を行うのが主流です。入場は新郎新婦、それぞれが、それぞれの仲人と腕を組んで祭壇の前まで歩みます。新郎には女性の仲人が、新婦には男性の仲人が付きます。日本のように年配の者が仲人をするのではなく、友人、兄弟といった、その新郎新婦にとって最も近い存在の者が引き受けます。また、婚姻は、式における本人同士のサインのみならず、仲人のサインも伴って、はじめて成立となるわけです。
式終了後は、写真撮影が行われました。集合写真から、ツーショットの幸せ一杯の写真まで、カメラマンが、じっくりと時間をかけて撮っていました。かれこれ1時間弱はかかったと思います。教会の庭で撮影を行う場合もありますが、この時は皆、車で隣町にある、緑鮮やかな公園に移動しました。その移動にも、車は列を乱しません。ボンネットの上を花輪で飾った、新郎新婦の乗る車を先頭に、ざっと、10台ぐらいの車が後に続きます。それぞれの車が、警笛を鳴らしながら、パレードしていきました。対向車線を走ってくる車も、警笛を鳴らし返します。それはもちろん、祝福の挨拶をしているのです。
写真撮影の後は、披露宴!写真撮影をした町にある、小さなレストランを貸し切っての披露宴です。会場に着くと、まず、店の人が祝辞を述べ、お皿を地面に落として割ります。お皿が割れることは幸福を意味します。その割れたものを新郎がホウキで、新婦がチリトリで集めます。これは、これからの人生を、二人で協力して生きていくことを示します。
席につくと、まずは、乾杯です。それが終わると、皆、それぞれの目の前に用意してある食事用器具類で、お皿をたたき出します。"カンカン"と響くその音は、食事の催促ではなく、新郎新婦へのキスの催促です。こうなると新郎新婦は立ち上がり、皆の前でキスをするしかありません。なぜなら、キスをするまで、まわりはお皿をたたくことをやめないからです。
食事は、スープに始まり、鶏や豚肉を調理したメイン、デザートが出されますが、スロヴァキアの結婚式では、食事が何度も出ます。踊りながら朝まで祝うので、体力を持たせるには頻繁に食べなければなりません。今回は3度出ましたが、3回目の食事ともなると、もう皆お腹が一杯で、食べられない人がほとんどでした。
結婚式で踊るとなると、花嫁、花婿は、必ず自分の両親、相手の両親と踊ります。感謝と別れ、そして、これからもよろしくという気持ちを込めて踊ります。楽団の生演奏に合わせて、来客ももちろん自由に踊ります。
さて、日付の変わる真夜中には、新郎新婦によって蝋燭の踊りが踊られました。火を燈した蝋燭を持って踊る二人。炎は真実の愛、永遠の愛という意がありました。今ではこの意味を知る人こそ少ないものの、踊りの形だけは古くから伝承されてきました。その踊りが終わると、新郎新婦はお色直しのために、会場を後にしました。このお色直しですが、元はといえば、花嫁のベールを取って、頭巾をかぶせるという、結婚式でもクライマックスに当たる儀式でありました。頭巾を付けるということは既婚の証であることから、花嫁が、独身でなくなることに覚悟を決める最後の瞬間であったわけです。現在では、ベールはもちろん外しますが、頭巾をかぶることはなく、お色直しをするということで、既婚を意味しているようです。
お色直しの後は、新郎新婦と皆が交代に踊ります。踊り終わった人から横においてあるお皿にお金を払います。金額は人それぞれ、その人の気持ちによって違います。これは、一緒に踊ってもらったお礼と、これからの二人の祝福を祈って納められる、昔からの儀式の一つです。払い終わると、身内の方からお酒とケーキをいただきます。
幸せ一杯の二人、そしてその二人を心から祝福する人たち。総勢60人という、あまり大きな式ではありませんでしたが、若者も年よりも、飲んで、食べて、踊ってという具合に、二人のおかげで自分たちも楽しむことができました。私は、これで、スロヴァキアの結婚式は3度目でしたが、どの結婚式でも、年配の方たちは元気に朝まで披露宴に残っていました。私などは夜中の2時も過ぎると、すぐに眠くなってきてしまうというのに・・・。ちなみに今回は朝の4時近い夜行でブラティスラヴァに帰ってきました。家に着くと、お土産に貰ったケーキを冷蔵庫に入れるなり、蒲団に倒れこみ、その日は昼過ぎまで寝むりこけたのでした。
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