11月28日、東京メトロポリタンバレエ団による「森羅」「闇のなかの祝祭」の公演がブラティスラヴァの国立劇場で行われた。この東京メトロポリタンバレエ団は、野坂公夫、坂本信子主宰による、ダンスワークスというカンパニーを母体として新メンバーを加え、海外公演のために組織されたものだ。作品はそれぞれ、ヤナーチェク、ドヴォルザーク、フチークといったチェコの作曲家の曲に振付けられたものである。
過去に、クラシックや伝統芸能の分野における日本のアーティストたちは幾度かスロヴァキアでコンサートを行なった。しかし、日本人による舞踊の公演はというと、私がスロヴァキアにいる6年間、お目にかかったことがない。めったに来ることのない日本の舞踊公演とあって、チケットは完売だった。
少々余談になるが、現在ブラティスラヴァの国立劇場では5人の日本人ダンサーが活躍している。5人とも女性だが、以前は男性も一人所属していた。その中の一人はソロを務めるほどの技術の持ち主である。
さて、東京メトロポリタンバレエの公演は、果たして、成功の内に終わった。しかし、プログラムの内容が観客の期待していたものだったかという点については疑問が残る。
例えば、クラシックバレエのようなストーリーのはっきりしているものを期待していた人には、振付けがモダンすぎたようだ。しかし、もともとのダンスワークスというカンパニーの志向が「バレエ、モダン、コンテンポラリーという枠にとらわれることなく、それを自由に行き来できる自由なダンス」であることから、こてこてのクラシックを踊るカンパニーでないことは明らかである。
他の意見としては、「ダンサーが器用」、「衣装が素敵」、「このような振付けを見たことがない」、「空間の使い方が変わっている」、「雪が舞台上で見られなかった(ポスターに雪の舞う中を踊るシーンの写真が載せられていたため)」などであった。
私が一つ残念に思ったことは、音楽が録音であったこと。劇場に流された音楽は、生きていなかった。チェコの作曲家のものであれば、こちらのオーケストラも馴染みの曲の筈である。タイミングと速さが、ダンサーとオーケストラとでマッチするのは難しいことだが、練習すれば何とかなったのではないだろうか。もっともその練習時間が取れなかったために、録音されたものを使用せざる終えなかったのかもしれないが…。
このブラティスラヴァでの公演は東京メトロポリタンバレエのチェコ、スロヴァキア公演の幕切りであった。この後は、チェコのブルノ、スロヴァキアのコシツェ、プレショヴを廻り(12月4日が最終公演)、帰国する。
 国立劇場横の広場 |
 国立劇場前のクリスマスツリー |
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