5月1日はメーデーである。その1日から、地方の田舎では高い木が村に立つのが見かけられるようになる。メイポールである。今でこそ、この伝統行事を行う所は少なくなってきたが、ブラティスラヴァの隣町で毎年のようにそのメイポールを立てる所がある。
そこはZáhorská(ザーホルスカー) Bystrica(ビストリツァ)といって、ダウンタウンからバスで30分程行った場所にある。少し車を走らせただけで、その辺りはもう緑の景色が広がってくる。その周辺の町も含めた、緑の野にポツンポツンとある集落は、教会の屋根だけが横長の風景からとび出ている所がほとんどだが、このザーホルスカー・ビストリツァには5月になるとメイポールが高くそびえるのが見える。
メイポールには蝦夷松やモミの木が使用される。天辺の1m程度を残して、枝と葉を落とし、樹皮も剥き、残った枝と葉の部分にリボンで飾りを付ける。
メイポールは、4月30日の夜、男の子が、婚約している女の子、または好きな女の子の家の前に立てるものであった。他の者に彼女が獲られないように、あるいは、結婚式がそう遠くないうちに行われることを周りに知らせる役割もあった筈である。その他の者で特にそのような特定の子がいない者は教会や役所の前にポールを立てた。
ポールの周りでは、若者が踊ったり、歌ったり、女の子がお返しにプレゼントをあげたりと、その昔は随分愉快な一時が見られたようだ。しかし、私が訪れたときの教会横の広場は閑散としていた。ザーホルスカー・ビストリツァではかろうじてメイポールを立てることだけは行っているが、以前と全く同じような風習ではなくなっている。
それにしても、木に残された葉と、リボンが高い所で風に揺れる様は、日本の皐月の空を泳ぐ鯉のぼりを想わせ、郷愁を感じる。
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