暖かくなってくると、寮では毎年のようにあること。お湯が出ない。お湯が出ないだけではなく、気候の寒暖に関係なしに水が出なくなることも頻繁にある。停電、エレベーターの故障なども日常茶飯事であった。
日本という、現在では世界有数の便利でサービスの行き届いた国で育った私は、そういったことに免疫がなかった。そのため、その不自由さに苛立ちを覚えたことが何度もある。
そんな5年の寮生活に終止符を打ち、昨年私はアパートへ引っ越してきた。アパートと寮の違いは明らかで、エレベーターは今まで3度ほど動かなくなるだけだし、停電、水が出なくなったことはない。
そんな快適さを満喫してそろそろ一年という矢先に、なんと、お湯が止まる事態が発生した。寮ではないのになぜ!?とショックは隠せなかった。しかしできることと言えば、そのお湯の出ない時期を乗り越える他はない。「熱いお湯しか出ないよりは、水しか出ない方がマシだよ。熱すぎたら、それこそシャワーどころじゃないからね」と寮での隣人に言われたのを思い出した。
それに納得して、この一週間、私は水のシャワーを浴びたり、台所で沸かしたお湯をたらいに張ったりして身体を洗った。そして一週間後、お湯が出時には、シャワーのヘッドから注ぐ熱い湯に、乾いた土地にしみ込む雨を喜ぶ植物さながらの気持ちを感じた。
なぜそのようなことが起こるのかというと、それは、毎年一度、暖かくなってきてお湯がなくても過ごせる時期に、水道管などの工事、検査が行われるからである。そのために、だいたい一週間前後の日数がかかるのだ。「少し前までは、二週間もお湯が出なかったのよ」という同じ地区に住む人の話に、ここに引っ越してきたのが去年でよかったと思った。
一軒家では、ほとんどの家にボイラーが設置されているために、そのボイラーを使ってお湯を沸かせば、いつでもお湯は出る。ボイラーが故障しない限りは大丈夫だが、温まったお湯を使い切ってしまうと、次が温まらぬまでは微温湯(ぬるまゆ)か水しか出ない。
郷に入っては郷に従えで、少なくとも私にとって不便なことを水道局などに訴えるつもりは毛頭ないが、それでもやはり、このお湯の出ない期間が今後少しでも短縮されることを願ってしまう。
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