スロヴァキアの町や村、電車やバスの中で、緑の軍服を来た兵隊たちを見かけたことがあるだろうか。
スロヴァキアには徴兵制度が残っていて、召集令状が来ると入隊し、任期の何ヶ月かを軍務に費やさなければならない。戦争がない限りは戦いに行くこともなく、主に毎日は訓練に充てられる。そうはいっても、射撃などは予算の関係から訓練中一度しか行われないそうで、ほとんどは行進、ジョギングに筋肉トレーニング、キャンピングなどがそのメニューとなっている。
成年男子は18歳を過ぎるとこの召集令状が送られる対象となるため、基本的には高校を卒業した者から入隊するが、中には大学へ進む者もいるため、後者は入隊を延ばすことができる。それから、健康上の問題や、家庭の事情などから軍務へ就くのが難しい者は、文官勤務に充てられる。そのかわり、文官勤務は軍務よりも期間が長い。参考までに任務期間の変遷をここに載せる。
| 年代 | 軍務の期間 | 文官の期間 |
| 1949年10/1〜1990年1/28 | 24ヶ月 | なし |
| 1990年1/29〜1990年3/13 | 22, 20 あるいは18ヶ月 - 入隊時期、または家庭事情による | なし |
| 1990年3/14〜1990年6/30 | 18ヶ月 | なし |
| 1990年7/1〜1993年6/29 | 18ヶ月 | 27ヶ月 |
| 1993年6/30〜1995年10/3 | 12ヶ月 | 18ヶ月 |
| 1995年10/4〜2000年6/30 | 12ヶ月 | 24ヶ月 |
| 2000年7/1〜2000年12/31 | 12ヶ月 | 18ヶ月 |
| 2001年1/1〜2003年12/31 | 9ヶ月 | 13,5ヶ月 |
| 2004年1/1〜 | 6ヶ月 | 9ヶ月 |
この徴兵制度を廃止し、自衛隊を設ける案が議会で可決されたのは、もう随分前のことになる。当初は2006年の1月1日から廃止の予定であったが、今年の7月に入って2007年1月1日から廃止という意見が発表された。そのまたすぐ後に、何と今度は今年の8月1日から廃止という発表があった。8月1日までは、もうちょうど一週間である。
この徴兵に関しては、私の周りには喜んで入隊する男の子たちはほとんどいなかった。2006年に廃止されると分ってからは、大学を卒業しても留学をしたり、大学院に行ったりして何とか2006年まで学生で済ませようとする人が多かった。中にはコネを使って入隊を免れた者も少なくない。「軍務に就くのは時間の無駄。職に就いた方がよっぽど儲かって良い。」というのが彼らの揃って口にする言葉。私はついこの間まで大学という機関に属していたから、こういった大学生たちの意見を聞くことが多かったが,果たして高校生はどのように思っているのかは分らない。
スロヴァキア民謡には、この徴兵に行く男の子を想う女の子の気持ちを歌った歌がいくつかある。18世紀ごろ、徴兵期間は20年にも及んだことがあった。歌には、好きな男の子とそれだけの長い期間会うことができない、また、再会できるかも分らない心持が表現されている。ほとんどが長調のメロディーで、明るく軽快な歌にしか聞こえないものも、歌詞に注意すると実は悲しい歌だったりするのである。
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